熊本から大分にかけて大きな被害をもたらした地震は、中央構造線が走る紀北地方で暮らす私たちに、直下型地震の恐ろしさを改めて知らしめた▼いざという時に備え、昨年から社内での防災活動に力を入れている。東日本大震災のボランティアや福島からの避難者、市の防災に詳しい専門家を招いて勉強会を開いた▼秋には防災訓練を行った。抜き打ちで地震発生を伝え、揺れていないのに机の下に隠れ、屋外へ避難した。初めてのことで、企画した筆者が感じるくらい照れくさく、真剣に向き合えた実感は薄かった▼4月1日の三重県南東沖での地震では携帯電話のアラーム音に緊張したものの、机の下にも隠れず、ただ状況を見守るしかできなかった。大きな地震の場合、命を落としていただろう▼訓練後、社員から危険と考えられる棚の配置や経路について意見が出た。今回の地震でも死因の多くが建物や家具などによる圧死という。命を救う手段は、訓練と工夫の積み重ねの上に成り立つと強く実感した。(林)
(ニュース和歌山2016年4月23日号掲載)