障害者の居場所づくりに取り組むNPO法人ロッツが4月、発達障害を抱える幼児向けの事業所「こどもの家」を紀の川市西井阪に開いた。保育所や幼稚園に通いながら、またはその代わりに利用でき、親子で参加できるプログラムもある。木下陽子理事長は「発達がゆるやかな子たちが、地域の小学校や幼稚園、保育所に自立して通えるよう手助けをしていきたい」と力を込める。
2003年、那賀地域で立ち上がったロッツ。不登校やひきこもりの問題、障害を抱える小中高生が放課後に通う施設のほか、障害者と地域の人が交流できる「ふれあいルーム」を運営する。
こどもの家は、発達障害の特性を知らず、子育てに悩む母親や、成長してうつ病やひきこもりといった2次障害を引き起こす子を見てきた木下理事長が、「幼いころからかかわれば、母親のストレスを減らし、子どもの成長度合いが変わるかもしれない」と設立した。
3〜5歳児対象の給食付き通所と、0〜5歳児の子と親が参加できる半日の親子教室がある。いずれも、子どもの成長に応じ、友達と仲良くするためのトレーニング、音楽や運動といったプログラムで社会性を育てる。また、保護者向けの勉強会を毎月行う。
教室には、靴のはき方をイラストで描いた紙を張ったり、服のたたみ方を折り紙で表現するなど視覚的に分かりやすく工夫する。保育士の上野比子(ともこ)さんは「毎日親子で楽しく来れるような環境づくりをしています」と笑顔。
通所と親子教室の利用は障害福祉サービス受給者証が必要で有料。子育ての無料相談も受け付ける。こどもの家(0736・60・3686)。
写真=保育士らと心地良い環境づくりに励む木下理事長(中央)
(ニュース和歌山2016年5月25日号掲載)