糸繰り婆12_dc
怖さ2 町の妖怪 出没地域:和歌山市の水門神社付近

 糸繰り婆は和歌山市小野町の水門神社の辺りに出たとされる妖怪。夜にこの辺りを通ると、松の木の上で糸を繰る(繭や綿花から糸を引き出して紡ぐこと)老婆がいる。松の枝に腰を下ろし、器用に糸を繰る様は実に見事で、つい見とれてしまうが、ふと、「なぜこんな夜遅くに、しかも木の上で…」と奇妙に思えてくる。それを察してか老婆はこちらをちらりと見ると、大声でゲラゲラ笑い出し、その姿を糸の玉に変えて飛んでいったという。夜道を歩くときは前や足元ばかりに注意がいき、頭上はおろそかになるものだ。夜こそ頭上を注意していただきたい。見たこともない何かがいるかも…。

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 妖怪をこよなく愛する和歌山市の漫画家、マエオカテツヤさんが毎週土曜日、妖しの世界に誘います。

(ニュース和歌山2016年6月11日号掲載)