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 命の循環をアートで表現する海南市の染織家、土井知子さんが個展「めぐるいのち つながるセカイ」を6月21日(火)~7月3日(日)、和歌山市満屋のアクアで開く。ため池が育む命の循環を布で作った立体作品で表す。「ふわふわ浮かぶ水の粒子や分子をイメージしました。ギャラリーにくらげのようにプカプカ浮かばせます。ゆったりした気持ちで見てもらえれば」とほほ笑む。

 土井さんは近畿大学文芸学部芸術学科で染織を学んだ後、布地をデザインする仕事に携わった。4年前に地元の下津町へ戻り、現在はデザイン会社や学童保育での仕事をしつつ、創作活動に励む。

 ため池に着目したのは、紀美野町の草木染め作家、舟山れいらさんとの出会いがきっかけ。舟山さん宅近くのため池で昔、小さなエビの漁が行われており、農業用水をためる以外にも地元の生活に密着していたことを知った。ため池とともにあった昔ながらの里山の生活を見つめなおし、次世代へ伝えていこうと舟山さんと今年、「溜め池物語実行委」を結成。池の近くでホタル鑑賞会や地質学の講座を開き、ため池文化を発信する。

 個展はその一環で、ため池をイメージして制作。チュール素材の布を青や緑の染料で染め、何重にも重ねたモビールを天井からつり下げるほか、透明感のあるオーガンジーの布に金色のラメで描いた抽象画も並べる。「ため池は今、自然の一部のようになっていますが、昔の人が大変な時間をかけて造ったもの。そこから水が田や海へと流れて人々の生活を潤す。命は巡っていることを創造力で伝えていきたい」と話す。

 午前10時~午後5時。6月27日(月)休廊。プチグループ展「溜め池物語」も同時開催。溜め池にちなんだ絵画や木工作品、染め物などを並べる。アクア(073・463・4640)。

写真=ため池をイメージして制作した作品を展示する

(2016年6月18日号掲載)