知的、精神、発達などの障害がある子どもたちを受け入れ、利用者の特性に合った学習プログラムの提供と心理相談を受ける「あうる学育室」が4月、和歌山市黒田の和歌山コンピュータビジネス専門学校5階に開設された。医療、心理、福祉、教育などの専門家が集まるPeer(ぴあ)心理教育サポートネットワークが運営する。
臨床心理士で社会福祉士の小山秀之理事長が7年前から構想。不登校児・発達障害児の学習支援や、就労支援現場などで活動する中、進路選択の直前で将来に頭を抱える子どもたちを目の当たりにしてきた。
「障害があっても早い段階で支援を受け、適切な学習法を身につければ、将来の選択肢も広がるはず」と開設を決めた。学育室では、利用者について、かかりつけ医や学校、家族からヒアリングし、宿題や作文をチェック。学習で課題になっている特性を洗い出す。次に、1対1で机に向かい、適切な勉強法を助言する。「例えば本読みをしても、読むことに集中して内容を理解していない場合があります。見て覚える子、音読で覚える子、書いて覚える子と、覚え方にも得意、不得意があります」と小山さん。
開設から2ヵ月経ち小1~19歳の32人が利用している。アスペルガー症候群の中学3年生男子はかつて、テスト時間が終わるまで1問目が解けずに考え続けた経験がある。「自分で優先順位を決められず、白紙で出すこともありました。自分の特性を理解し、丁寧に勉強を教えてくれるだけでなく、普段の悩みも聞いてくれるので、安心できます」と喜ぶ。現在は一度あきらめた高校進学を目指し、週3回通う。
小山さんは「利用者自身が自らの特性を理解し、社会生活を送れるようになる力を身につけられれば、将来的には就労や自立生活につながるはず。学習支援以外に集団活動や季節のイベントなども開き、利用者間のコミュニケーションも増やしたい」と描いている。
障害児通所給付費を活用して利用可能。要予約。午後1時半~9時15分(土曜は午前10時半~午後6時15分)で日月休み。同ネット(peernet2016@gmail.com)。
(2016年6月22日号掲載)