和歌山県の農作物のうち、桃、みかん、柿の輸出が伸びている。県が把握するだけで、輸出量は450㌧と10年前の2倍以上。長距離輸送に耐えられるよう保存法や箱を改良し、海外百貨店での和歌山フェアなどにPRブースを出展、販路を広げてきた成果が出ている。
輸出量は、桃が2005年の42㌧から15年は117㌧に、みかんは136㌧から280㌧、柿は30㌧から53㌧へと大幅に増えた。当時の輸出額は不明だが、15年度は桃が1億1900万円、みかんが3600万円、柿が2300万円で計1億7800万円となった。JAを介さず生産者が直接輸出することもあるため、正確な数字はとらえづらいが、量は着実に増えている。
県食品流通課は、「台湾向けの桃は、検疫条件をクリアした06年から輸出を始めたところ、『赤くて大きく縁起が良い』と人気を呼びました」。15年は不作のため量を減らしたが、14年は170㌧を送った。JA県農も「近年は台湾だけで、桃を年1億円前後輸出しています」と話す。
また、みかんは1970年代からカナダへ年100㌧前後送ってきたのに加え、東アジア、東南アジアの旧正月向けに需要が増加。以前から香港などに輸出してきた柿は、輸送時に実が軟らかくなるのを抑える技術を改良し、より遠方へ送れるようになった。特に東南アジアで人気が高く、昨年は初めてマレーシアに輸出した。
県は、事業者向け輸出セミナー開催や、蔵出しみかんをはじめとする高級果実のブランドを海外でも浸透させ、さらに輸出を増やしたい考えだ。
写真=海外の百貨店でブースを出しみかんをPR
(ニュース和歌山2016年7月2日号掲載)