田辺市龍神村の下山路にある大きな竹藪に棲(す)んでいたという化け物。夜に人がここを通ると、前に立ちふさがったり、 後ろから尻を撫(な)でたりしたという。この手の他愛のないいたずらは大体がタヌキやキツネの仕業とする場合が多く、この「藪おばけ」もタヌキやキツネが化けたものかもしれない。夜道、女性の一人歩きは気をつけなさいとの戒めでもあるが、〝女性の尻〟を撫でるとの記述はどこにもないことから、男の尻を撫でるとも考えられる。驚かそうと撫でた尻が強面(こわもて)のおっさんだったら、藪おばけのほうが驚きそうだ。
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妖怪をこよなく愛する和歌山市の漫画家、マエオカテツヤさんが毎週土曜日、妖(あや)しの世界に誘(いざな)います。
(ニュース和歌山2016年7月30日号掲載)