平常心で挑む初舞台

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 初めて挑む五輪は30歳。「近代五種では大ベテランですね」。〝キング・オブ・スポーツ〟との別名を持つ近代五種は、フェンシング、水泳、馬術、そして射撃とランニングを組み合わせたコンバインドを1日でこなし、総合成績で争うハードな競技だ。「5種目するのは大変。ただ、1種目のミスを他の種目で補えることもある。ゴールまで何が起こるか分からないのが魅力です」

 座右の銘は〝平常心〟。夢舞台を前にしても、「緊張やプレッシャーは全くありません。楽しみな気持ちが大きい。どんなアクシデントがあっても、気持ちを乱されないよう心掛けています」。静かに闘志を燃やす。

東京へつなぐ戦いを

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 子どものころの夢は〝オリンピック出場〟。それは近代五種ではなく、水泳で描いた目標だった。
 水泳を始めたのは3歳の時。和歌山北高校2年で出場したインターハイの会場で、自衛隊体育学校のスタッフから「近代五種で五輪を目指さないか」と誘われた。3年生となった翌年、インターハイ、国体とも決勝進出を果たせず、未知なる競技への転向を決めた。

 自衛隊体育学校入隊2年目の2006年には世界ジュニア選手権とアジア選手権に出場した。「戦った海外の選手との差がありすぎた。初めてナショナルチームに入り、『海外の選手に勝ちたい』と思ったこの時が、成長の節目だった」と振り返る。

 その後、故障に苦しんだ時期を乗り越え、10年の全日本選手権大会を制すると、14年のアジア大会では団体準優勝に貢献。そして昨年6月のアジア・オセアニア選手権で日本人トップの8位に入り、リオ切符をつかんだ。

 この競技、日本人男子の五輪での最高成績は22位。この順位を最低限のノルマととらえる。「結果はやってみないと分かりませんが、試合でうまくかみ合えば、絶対に達成できると思っている」。その上で、「メダルも見据えた上位入賞が目標。4年後の東京五輪を目指している若い選手たちの目標となれるような戦いをしたい」。

 自らの戦いに、後輩たちへのメッセージを込める。

写真提供=自衛隊体育学校

【近代五種・男子】
8月19日=フェンシング予選 20日=全5種目

(ニュース和歌山2016年8月13日号掲載)