子どもとまち歩き 西山東地区 マップ作り講座
子どもたちの防災意識を高めようと、和歌山市の西山東地区防災会は1日、山東小5年生37人と「防災まちあるき」を実施した。同会の川口義晴副会長は「自分たちが暮らす地域に潜む災害の危険性に気付いてもらえた。住民に歴史を聞き、ふれ合う中で、防災や安全への関心につなげることができました」と喜んでいた。
自治会や消防団が中心だった防災会だが、今春、小学校の育友会や民生委員会など地域の団体を加えて新たに出発。定期的な避難訓練に加え、災害時に住民で助け合う仕組みづくりや女性の視点を取り入れた避難所運営ができるように、備えに力を入れている。
その一環で、防災の基礎知識を学び、マップを作る5回講座を企画。1日は通学路とその周辺の危険箇所や災害時に使えそうな設備を確かめようと、9グループに分かれて歩いた。ふたのない溝がある細い道は「街灯がなく、夜間の避難は注意が必要」、旧家の屋根がせり出した道は「かわらが落ちてくる可能性がある」と確認し、公衆電話や井戸の場所を地図に記した。
坂口比菜さんは「災害時に役立つ井戸を3つ見つけて安心しました」、出張隼都くんは「今まで気にしていなかったけれど、危険な場所があることが分かった。下級生にも伝えたい」とにっこり。
今後、まちあるきの成果を地図に書き込み、11月6日の防災祭で子どもたちが発表する。防災会メンバーで、和歌山大学災害科学教育研究センターの中筋章夫さんは「山が近い、海抜が低い、住宅が密集するなど防災上不利な状況を把握しておくことは、いざという時の行動に生かせる。世代を超えて防災に取り組むことが重要です」と語っていた。
写真上=避難時に水を得られる井戸の場所を確認
和歌山市 地区別で避難計画周知 南海トラフ巨大地震想定
和歌山市は南海トラフ巨大地震を想定した津波避難計画を7月に初めて策定。加えて、浸水が予想される33地区別計画も作り、共通版、地区版を自治会長や防災会長に配布した。「揺れたら逃げる」を徹底する指針で、市地域安全課は「地震と津波で1万8100人の市民が犠牲になると予測されていますが、死者をゼロにするため、各地区で活用してほしい」と呼びかける。
市は2005年、東海・東南海・南海の3連動地震で浸水が予想される15地区の避難計画を立てた。今回は3連動より規模が大きな南海トラフ巨大地震で33地区が浸水する想定のもと、計画を変更。共通版には、地区ごとの津波到達時間、浸水面積、深さを示し、逃げる速さから到達できる場所を算出する検証法をまとめた。
地区版には緊急避難場所や避難方向と経路、浸水域、渋滞や事故の予想地点など地域の実情に応じた内容を掲載した。
3連動では浸水範囲は広くないと予想された市駅前通り周辺の城北第19区自治会は、昨年から防災班が市の講習を受け、地区に広める準備を進めてきた。沼野敏正自治会長(79)は「前は市堀川の氾らん想定でしたが、今回は津波が紀の川の堤防を超えて広く浸水する予測。昭和南海地震で受けた被害も伝え、地区内で防災意識を高めたい」と気を引き締めている。
写真下=浸水域のほか、倒壊する可能性のある橋や歩道橋などを掲載した地区版
(ニュース和歌山2016年8月20日号掲載)