うだるような暑さが続く中、この2週間はさわやかな風が吹き抜けた。リオ五輪日本代表選手団の活躍がすがすがしい気分にしてくれた。どの選手も目標を掲げ、厳しい練習に耐えてきた強さがある。ただ、彼らが競技に立ち向かい続ける原動力は目標達成への執念だけではないようだ▼獲得した金メダルを、共に選手として闘ってきたが、五輪への出場がかなわなかった姉にかけた女子柔道の田知本遥選手。競泳男子400㍍個人メドレーで金メダルを獲った萩野公介選手は「先生に金メダルをかけさせてあげたい一心で泳いだ」と語った。そこには「だれかのために」という強い気持ちがあった▼大リーグ3000本安打を達成したイチロー選手の会見にも同じ思いをみた。「僕にとって3000という数字より、僕が何かをすることで僕以外の人たちが喜んでくれることが、今の僕にとって何より大事だと再認識した」▼何かを成し遂げるには「人を幸せにしたい」。それが最大の原動力になるのかもしれない。(秦野)
(ニュース和歌山2016年8月20日号掲載)