大塔村(現在の田辺市大塔地区)の合川に棲む、頭に角をもつ黒い大蛇で、この川の主ともいわれている。年に一度、海へ降りて身を清め、川へ帰るときは村人を驚かせないため、人に化けて川岸を歩いて帰るという。身を清める行為や、村人を気遣うやさしさから、親しみを込めて「さん」付けで呼ばれているのだろう。つまるところ、モリトウさんは村の守り神的存在なのだ。山間の大塔に棲むところから、「森のお父さん」の意味があるのかもしれない。
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妖怪をこよなく愛する和歌山市の漫画家、マエオカテツヤさんが毎週土曜日、妖しの世界に誘います。
(ニュース和歌山2016年8月27日号掲載)