空家率18・1%(2013年調査)で全国3位の和歌山県。放置され瓦が落ちかかり、また、雑草だらけの空家(特定空家)を減らそうと、和歌山市は5日、空家等対策協議会を設置し、昨年5月に施行された空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)に基づき対応する。市空家対策室は「市民の安全を守るため、まず、対策計画作りから」と掲げている。
市は空家法施行に先駆け13年、空家の適正管理を規定した条例を制定。住民から苦情や相談を受けてきた。市民から「台風で瓦が落ちた」「草木が茂り、虫がわいて不衛生」などの情報が、13年、14年は各120件、15年は230件、今年も昨年を上回るペースで寄せられている。
一方で、一般的な木造住宅だと撤去に100万〜200万円かかるため、なかなか手を付けようとしない所有者が多い。撤去を促そうと、市は14年に費用補助を開始。利用者は14年の8件から、15年は15件、今年は38件に増えた。今年始めた海南市も3件の予定を6件に増やしたが、すぐに埋まった。
また、空家法により、倒壊の危険があるか、衛生上有害な空家を特定空家に認定できる。認定されると、住宅があれば6分の1になった土地固定資産税の軽減措置が受けられず、住宅を放置するメリットがなくなる。
和歌山市は補助と税制で撤去が進むことに期待をかける。修繕して再活用も視野に入れるが、空き家相談センターわかやまによると、放置された空家は傷みの激しい物件が目立ち、思うように生かせないのが実情。
特定空家の認定基準は、今後詰める。本紙配布地域では、岩出市が今年3月に空家等対策計画を作り、海南市や紀の川市は策定に向け準備中。和歌山市も含め、本格的な対策は来年以降となる見込みだ。
写真=壁が崩れて傾き危険な空家(和歌山市提供)
(ニュース和歌山2016年10月12号掲載)