和泉山脈が修験道の修行場であることにちなみ、温泉入浴を修行に見立てたスタンプラリー「紀泉温泉修験道」の参加者が増え、700人以上が励んでいる。昨年6月に8温泉でスタートし、すべて回ると名人、11巡すると先達となる。今年7月、27温泉に増やしたところ、2ヵ月で30人以上の名人が誕生。実行委の西口正敏委員長は「先達も2人出ています。温泉修験道を通じ、和歌山の魅力を味わってほしい」と願っている。

 修験道は奈良時代に役小角(えんのおづぬ)が始2016101502_furoめた宗教。紀泉温泉修験道は、湯を楽しみながら地域の魅力に〝浸かる〟のを目的に、温泉関係者らでつくる実行委が企画した。88湯を巡れば温泉道名人に認定される別府八湯温泉道をモデルとし、入浴マナーを守り、入浴者同士やスタッフとの交流を進める、湯の質を見極めることを心得とする。

 最初は、和泉山脈沿いにある加太の大阪屋ひいなの湯、犬鳴山のみ奈美亭、葛城山の八風の湯などから始めた。ひいなの湯の利光伸彦さんは「役小角が経典を埋めた第一番が加太の友ヶ島。温泉修験道にふさわしい」と胸を張る。

 名人は1年で50人ほどだったが、施設を増やした後に急増。9月末までに84人が達成した。9月に2代目先達となった堺市の山口桂司さんは、温泉だけでなく周辺の魅力を肌で感じたいと、可能な限り歩いて回る。駅から4時間以上かけてたどり着いた橋本のやどり温泉では、「疲れ切り、まさに修行でした。でも、湯に入ると元気になる。温泉ってスゴイ」と実感した。

 実行委が目標とするのは、88温泉の参加。既に修行の地である本宮周辺の温泉が加わっており、今後は、まず十津川、その後、白浜や勝浦と海沿いに広げ、ぐるりと回れるようにする意向だ。西口委員長は「いずれ100温泉に参加してもらい、88湯を達成すれば『大先達』に認定したい」と構想する。

 スタンプ帳は200円。実行委(073・471・3277、花山温泉内)。

写真=先達となった山口さん

(ニュース和歌山2016年10月15日号掲載)