2011年から青年活動を共にする仲間と始めた東日本大震災の被災地復興支援。1月10日号で紹介した通り、年末に宮城県石巻市を訪問し、被災地で暮らす人たちと交流してきた▼その帰路に、福島第一原発の復旧作業員にみかんを届けるため、原発の近くを通った。原発がある双葉町、大熊町の帰宅困難区域は現在、一部の国道や県道が通行できるのだ▼町内は、時間が止まったようだった。中古車店やホームセンターは、屋外に商品が置かれたままで人は誰もいない。駐車場は雑草がアスファルトを押し破って生い茂り、個人宅や商店の出入り口はことごとくゲートで封鎖されていた。原発作業員の多くは地元出身者ながら家に戻れない人が少なくないという▼宮城は年を追うごとに復興が進み、町の風景は活気を取り戻しつつある。が、原発周辺には、近くて遠い故郷を横目に、命がけで復旧作業に取り組む被災者がたくさんいた。震災は過去の記憶ではない。現在進行形の問題なのだと強く感じた。(林)
(ニュース和歌山2015年1月24日号掲載)