宙に浮くスピーカーで音楽を楽しんで──。大手家電メーカーに勤めていた和歌山市の和田賢二さんら中高年男性4人が、浮遊して回転するワイヤレスエアスピーカー「LEVI SOUND(レビサウンド)」を製作し、注目を集めている。和田さんは「日本の家電には遊び心がない。レビサウンドは宙に浮くことで、音が振動に影響されません。音楽を〝聴く〟から〝観る〟へ変わります」と瞳を輝かせる。
他社製の球体スピーカーを見た和田さんが、「浮いたらもっと面白いかも」と思いついたのが始まり。音楽好きの仲間が集まり、今年3月にKEN有限責任事業組合(LLP)を和歌山市に設立した。
浮遊の特許技術を持つ中国の企業と交渉し、テスト版を試作。再生時間や機能などの微調整を繰り返し、これまで10台を製造した。スマートフォンや音楽機器などと、近距離でデータ転送する無線規格「ブルートゥース」で通信。スマートフォンで再生した音楽や通話の音声が、球体の高性能のスピーカーから流れる。
スピーカー底面に強力なネオジウム磁石、台部分に電磁石を内蔵し、コンピューター制御で台から2㌢ほど浮かび、回転しながら再生する。また、スピーカー単体では磁石の力で冷蔵庫や自転車などに付けられ、野外や移動中も利用できる。
こだわったのは美しいデザイン。スピーカーの下部は七色のLEDライトが輝き、部屋でのいやしのひとときや、飲食店の雰囲気づくりにうってつけだ。台部分はUFO、スピーカーは宇宙人の顔をイメージした。
現在は商品化に向け資金を募ろうと、特典を付けインターネットで寄付を集める「クラウドファンディング」に挑戦している。先行販売も兼ね現品付きで募集したところ、1週間で目標額の100万円を達成。18日現在で485人から826万8200円を集め、海外を含む大手家電量販店から問い合わせも続く。
1台1万4800円になる予定で、今後、年内をめどに量産化する。和田さんは「スピーカー以外にも技術を応用し、海外市場を視野に入れていきたい」と意気込む。
クラウドファンディングは11月8日まで受け付け。HP(https://greenfunding.jp/lab/projects/1596)。
KEN LLP(050・5273・9920)。
写真=「家電に遊び心を」と語る和田さん(右)
(ニュース和歌山2016年10月22日号掲載)