ため池の役割や現状、維持管理について考えるフォーラムが20日、和歌山市で開かれ、全国から訪れた関係者を前に、県が老朽化したため池の改修を素早く進める加速化計画を発表した。
県内のため池は5500ヵ所で、ほとんどは江戸時代かそれ以前に築造された。老朽化が進み、水漏れや堤の浸食があり、大規模地震やゲリラ豪雨への備えが課題だ。
県が2012年に始めた改修加速化計画は、従来、全面改修を行ってきたため池について状況に応じ部分改修とし、安全対策をしたため池を増やす内容。部分改修を入れることで、47年だった事業期間を14年に短縮できる。県が対策を担当する772ヵ所のうち、全面改修を43ヵ所、部分改修を190ヵ所とし、26年度までに整備を終える予定。県は「ため池には農業用水確保以外に、水を保つことで減災の役割がある」と説明する。
部分改修は全国的に珍しく、ため池管理に携わる水土里(みどり)ネット和歌山の宇田毅事務局長は「ため池が複数あれば、主なところだけ改修し、残りは水位を下げるなど実情に応じた対策が必要」と話していた。
(ニュース和歌山2016年10月29日号掲載)