伏虎中跡地の再開発、南海和歌山市駅ビルの建て替えと、街が変わりつつある中、新たな角度から街の魅力を発信しようとする市民団体が相次いで発足。和歌山城天守閣の木造化を目指す「『国宝』和歌山城木造復建の会」と、「わかやま水辺プロジェクト」が市民提案による街の魅力アップを図る取り組みをスタートさせた。

目指すは天守閣木造化 復建の会 初の勉強会

17010702_tenshu
 「国宝」和歌山城木造復建の会は12月、市民向け勉強会を初めて開いた。天守閣の木造化を求める声を市民からあげていくのがねらいで、白樫啓一代表は「国宝に指定されていた当時の姿に戻し、お城の魅力アップを図りたい。木造の建築技術の伝承にもつながります」と意義を語る。

 戦前、木造だった和歌山城は国宝に指定されていたものの、戦災で焼失。市民の熱意で1958年に鉄筋コンクリートで再建されたが、近年は老朽化が進み、雨漏りや耐震面での課題が指摘されている。

 会は建築家や材木店店主などの有志10人が立ち上げた。市が検討する耐震改修でなく、市民から木造化を市に提案するため、勉強会などを開いて理解を広げていく。木造化が実現すれば、国宝への再指定、木造建築の技能者の育成と技術の伝承ができると考える。

 この日は約20人が参加。和歌山市立博物館で額田雅裕館長から和歌山城の成り立ちを学んだ。江戸時代の城下町を再現した500分の1スケールのジオラマの前で、額田館長が「現在の道と江戸時代の道はほぼ重なり、様々な角度から天守閣が望める。町割りが残っているのが財産」と解説。参加者は「遠くからだと、天守閣が高いビルで見えなくて残念」「木造化でお城中心のまちづくりに弾みがつけば」と意見を出し合った。同市の戸根唯代さんは「外国人を和歌山城に案内することが多く、本来の姿である木造になれば、説明する際に力が入ります」と笑顔を見せていた。

 1月22日(日)午前10時から、和歌山城でウォークイベントを開く。語り部の案内でお城の魅力を再発見する。無料。希望者は白樫さん(073・422・6011)。

写真=お城と城下町の成り立ちをジオラマで学んだ

 

市街地流れる川 活用を 水辺プロジェクト発足

17010702_mizu
 市街地を流れる川の活用を官民で考える「わかやま水辺プロジェクト」は12月、和歌山市で活動のキックオフイベントを行った。1月25日(水)には、水辺を活用するアイデアを出し合う初の「ミズベ会議」をぶらくり丁のみんなの学校で開く。同会のプロデューサーで水辺周辺のコンサルティングを手掛ける岩本唯史さんは「市民の賛同の輪を広げ、和歌山市で水辺をまちづくりに生かす気運を高めたい」と意気込んでいる。

 同会は遊休不動産の活用で市街地活性化に取り組む紀州まちづくり舎ほかが、市の「水辺空間を活かしたまちづくり手法検討・調査事業」を受託して立ち上げた。ここ2年、市堀川でのカヌー体験やマーケットの開催、市堀川の景観を生かした日本酒バーのオープンと水辺への関心が高まってきたのを受け、官民が協力し、本格的に川の利用を進める。ミズベ会議で市民の意見を集め、来年度から試験実践する。

 市堀川沿いの飲食店で行われたキックオフイベントは75人が参加。ゲストスピーカーとして「水都大阪」の仕掛け人の一人で都市プランナーの泉英明さんが見向きされなかった市街地の川を利用し、いかにして水都大阪と言われるようになったかの手法を語った。泉さんは「和歌山市は川と陸の間に堤防がなく、あまり人が歩いていないのが逆に魅力。この空間を生かして飲食店やイベントができるはず」と語った。

 この後、市堀川沿いで日本酒バー、水辺座を運営する武内淳さんや、市堀川での観光クルーズを行った和歌山大学観光学部の永瀬節治准教授ら7人が活動内容と川への思いを熱く語った。

 参加した同市の長谷充浩さんは「行政主導でなく、民間の活動を行政がサポートする時代。その調整役が必要だと勉強になった」。同市の谷真里さんは「今まで川に目を向ける雰囲気はなかったけど、これだけ川にアクションしようとする人がいる。今こそ動き出す時期だと実感した」と話していた。

 25日は午後6時半から。詳細は「わかやま水辺プロジェクト」フェイスブック。同プロジェクト(073・425・8583)。

写真=市堀川への思いを語った武内さん

(2017年1月7日号掲載)