薬物依存症者の回復を支援する和歌山ダルクの代表理事、島田ゆかさんの講演会が12月、和歌山市で開かれた。

 臨床心理士、スクールカウンセラーとして活動する島田さん。昨夏には、小さな子をもつ母親が治療に専念できる母子寮を同市に開設した。

ダルク この日は、親にほめられず、学校でいじめに遭っていた少女の事例を紹介。「依存症者は自尊心を持てず、いじめを受けた人が多い。表面化しにくく、支援が難しい」と課題を明かした。

 少女は15歳で家出。知らない男性宅で覚せい剤に手を出した。幻聴、幻覚症状が表れ始めたころに保護され、家族やダルクスタッフの支えで社会復帰を果たした。「子どもの少しの失敗や逸脱を許すゆとりが保護者には必要。正論だけでは健全に育たない」と家庭教育の大切さを強調。「生きづらさ、苦しさを感じた時、否定せず一緒にいてくれる人の存在が支えになる。そうしたつながりを広げていきたい」と語った。

 参加者で、保護司や少年院への付き添いの活動にかかわる60代女性は「薬物の恐ろしさを実感しました。だれもが笑顔で暮らせる社会になるよう、力にならないと」と思いを強くしていた。

(2017年1月11日号掲載)