公立中学校の運動部について、休養日確保や練習時間の上限、合同チームの積極検討、複数指導者制を盛り込んだ指針を和歌山県教委が初めて設けた。適度な休息によるケガ予防、生徒の活動機会確保、幅広い指導の充実を目的に、4月から適用する。
指針は、昨年1月に県内の中学1、2年生と、運動部担当教員を対象にしたアンケートを参考に策定。休養日のない部は45%を占め、生徒の3割近くが「疲れがたまる」「休日が少なすぎる」と回答したことを踏まえ、「土日のいずれかを休日」「早朝練習を含め平日2時間、休日4時間以内」を原則とした。
休養日はこれまで、指導者任せの面が大きかった。県教委は「運動、栄養、休息を一体にとらえ、バランスのとれた成長につなげるため、練習制限は必要」と説明。県中学校体育連盟の太田英一郎理事長も「スポーツ医学が進み、休むことの大切さが認識されてきた。身体をケアすることで、ケガだけでなく、燃え尽き症候群予防にもなる」と期待をかける。
また、少子化が進み、人数がそろわないチーム競技は、合同チームや、クラブの再編を求める。県内では野球、サッカー、バレーボールなど6競技で2校合同チームの大会参加が認められている。ただ、近年は2校でもメンバーが足らないケースがある。昨秋の和歌山市ソフトボール大会には、初めて3校合同チームが出場。勝っても和歌山県大会に出られないことが条件で、指導した楠見中の田伏豊英教諭は「何とか生徒に試合を経験させたかった」と明かす。
このほか、外部指導者の活用を含め複数で指導する体制づくりを盛り込んだ。幅広い指導や教員の負担軽減が目的。県内で指導員160人を新たに確保する方針だ。
太田理事長は「指針実現には学校任せだけでなく、例えば、第3日曜は大会を開かず一斉に休みにするといったことも含め、サポートが必要」と話している。
(ニュース和歌山より。2017年3月4日更新)