電子機器用のプリント配線板を製造する和歌山市有本の太洋工業が、ほぼ全ての織物や編み物に配線板を貼り付ける技術を開発した。2016年に生み出した布地に配線板を取り付ける技術の応用で、浅井頼明次長は「好きな場所に好きな形の回路を付けられるようになった。医療や介護、スポーツなど様々な場面で広がれば」と話している。

 デジタルカメラやスマートフォンに使われる電気回路の配線板を製造する同社。16年に開発した、布地の凹凸に金属回路を密着させる技術では、織り方が密な化学繊維に限られ、同社の専用機械でしか取り付けることができなかったため、より多くの布地に手軽に付けられるよう改良した。

 アイロンなどを使い、熱を加えて圧着することで布に貼り付けられるフィルムを活用。フィルムに配線板を組み込むことで、専用工場以外でも配線板を手軽に取り付けられるようになった。また、身体の曲線や動きにフィットするよう、配線を蛇腹状にして伸縮性を持たせた。「配線を銅から抵抗の高い金属に替えると発熱します。熱を発する服への応用も可能です」と浅井次長。

 4月に東京で開かれる「メドテックジャパン」に参考出品する。衣料メーカーやヘルスケアの企業、研究機関と連携し、衣服に取り付けた配線板を生かした新たな機器やソフトウェアの開発を進める。

写真=服にプリントした金属回路を紹介する浅井次長

(ニュース和歌山より。2017年3月22日更新)