和歌山市木ノ本の柔道場、紀柔館は、転倒時に骨折の危険性を下げる転び方教室を始める。柔道の受け身を活用した転び方で、10日に開いた体験会には11人が参加。腹巻宏一代表(53)は「転び方はもとより、転倒しないようにバランス感覚や筋力もつけます。皆で楽しく過ごせるカフェもつくりました。心も体も元気にしたい」と意気込んでいる。

 高齢になると筋力が低下し、転倒する危険性が高くなる。介護認定を受ける要因の約1割が転倒で、寝たきりにつながることが少なくない。2015年度末で65歳以上の人口割合が28・9%だった同市は、筋力アップを図る介護予防運動の普及を進める一方、住民間のつながりを強め、互いに助け合う地域福祉の活動を広めようと昨年、活動の担い手養成講座を開催。さらに、受講者が暮らす地域で勉強会を開き、地区ごとの課題や特性に合った取り組みを検討してきた。

カフェ併設し居場所づくり

 講座に参加した腹巻さんは、木ノ本地区での勉強会を引っ張ってきた。住民と話し合う中、高齢者の居場所づくりが必要と感じ、自ら運営する柔道場で転倒による骨折の予防教室を開き、集まった人たちが憩うカフェをつくろうと思い立った。

 体験会ではまず、腹巻さんが「頭を打たない体勢になり、衝突する身体の部分を1点に集中させないことが大事です」と解説し、こけた際を想定して腕、肩、腰の順に身体を地面につけていく転び方を指導。次に、転倒予防法として、立ち上がる際の重心の運び方や、少し足を外に向けて歩く方法を紹介し、「こけそうな時は無理に踏ん張らず、2歩目を出して力を分散させましょう」とアドバイスした。

 木ノ本地区の小畑宏さん(71)は「つまづくと手をつこうとしてしまいますが、習ったことをできるよう体に覚えこませたい」。海南市から参加した長尾美恵さん(67)は「骨が弱って、転倒で骨折した人もいます。重心を分散させるのは効果的ですね」と納得の表情。

 木曜午前10時半。4月中無料、5月以降月2000円。前後にカフェを利用できる。同館(073・452・9070)。

写真=転び方を説明する腹巻きさん
(ニュース和歌山より。2017年4月20日更新)