パスタソースに欠かせないトマト。缶詰を一切使わず、地元産の新鮮トマトだけで作るイタリアンキッチン・セッテは、幅広い世代が通う和歌浦の人気店だ。あっさりした家庭的な味が特徴で、神谷匡彦さん(37)は、「野菜をはじめ食材にこだわりながら、祖父母から孫まで、だれもが安心して食べられる料理を」と力を注ぐ。
生トマトのソース
店に入ると、看板であるトマトソースの下ごしらえにかかる。20数個を湯むきし、種を取り、手ごろな大きさにカット。パン生地を丸め、前菜を仕込み、ドレッシングを2種類作ると、ほどなく開店だ。
「ソースもパンもドレッシングも、作るのはその日の分だけ。缶入りトマトは使わないので、確かに手間はかかります。生トマトを食べているようなフレッシュさを大切に、煮込み過ぎないで粒を残し、仕上げはさっぱり感を。常連客から『これだけで十分』と言われることが重なり、トマトソースのみのパスタをメニューに加えています」
小学生のころから、夢は料理人。中学卒業後は専門学校でフランス料理を学び、現地への留学を経験した。帰国後、ホテルで働きながら、将来を真剣に見据えた20代半ばで、考えが変わった。
「普段から親しむならフレンチよりイタリアンと思いました。店を開く時は、食材にはこだわるが、気取らない料理を出すと決めました」
イタリアンの高級店などで7年働き、2011年4月に店を開く。イタリア語で「7」を意味するセッテに、〝ラッキー7〟の思いを込める。オープン時、店の売りを考え、行き着いたのが、生トマトのソースと、旬の野菜だ。
「野菜ソムリエが勧めてくれる地元産を味わってもらうため、同じメニューの中でも、例えば、紫にんじん、紅くるり大根など、季節ごとの旬の野菜を出します。小回りがきく店ならではです」
安心できる店に
場所がら、若い人だけでなく、お年寄りが多く訪れる。ヘルシーさを意識したあっさり味にひかれる人は多い。
「油っこいイメージをなくすため、ソースはサラッと仕上げます。パスタの一部は自分で打ち、レモネードやジンジャーエールなども手作り。もちろん保存料は入れない。『ここなら孫を連れて来られる』と言ってもらえます。どの世代も安心して入れる店にしたいんです」
写真=季節ごとの旬の野菜を提供
イタリアンキッチン・セッテ
和歌山市和歌浦中1-2-47
午前11時半〜午後3時、5時〜9時半。日曜定休、月1回不定休
☎073・460・1432
(ニュース和歌山より。2017年5月24日更新)