一見すると割烹(かっぽう)のような和の外観。3月、和歌山市中心部にオープンした紀州麺処誉が目指すのは〝ラーメン店らしくないラーメン店〟だ。「誉」に込めたのは「和歌山の食材を誉(ほ)めたたえたい」との思い。濵慶太郎料理長(40)は、地元食材にこだわった独自の紀州麺を提供する。
和歌山へのこだわり
道路に面した木の扉を開くと、小さいながら心落ち着く和風の庭。店内では和服姿のスタッフが出迎える。一方、BGMは、料理長自ら選んだアップテンポのジャズだ。
「『ここ、ラーメン屋さんと聞いたんですけど…?』と驚かれるお客様が多いですね。ラーメン店らしくない店づくりにはこだわりました。おかげさまで、女性お一人で来られる方もいらっしゃいます」
麺料理は3種。あっさりした紀州真鯛塩ラーメンは女性、きりっとした味の紀州うめどりの鶏醤油ラーメンは老若男女問わず人気。豚骨醤油つけ麺はがっつり食べたい男性のハートをつかんでいる。
「塩ラーメンは毎朝、下津町から取り寄せる鯛、醤油ラーメンは鶏ガラでなく、紀州うめどりをまるごと1羽使って出汁を取ります。トッピングの自家製鶏チャーシューもうめどりです。つけ麺は、豚骨醤油味の和歌山ラーメンをアレンジした一品。食材以外も和歌山にこだわり、ラーメン鉢は備前焼作家の平岡仁さん、看板の字は書家の北原美麗さんと、地元で活躍する2人にお願いしたんですよ」
奥が深いから楽しい
18歳で食の世界へ飛び込み、日本料理、フランス料理、イタリア料理、エスニック料理など様々なジャンルの店を渡り歩き、腕を磨いた。
「その時その時、興味を引かれた料理に挑戦してきました。何か一筋でされている料理人に、その道では敵わないかもしれない。ただ、いろいろな分野で学んできたこと全てが私の財産です。ラーメンは初挑戦でしたが、奥が深い。だから楽しい。新しいことをしていきたいとの思いは常に持っています」
夏に向け、冷製パスタのような冷たい和歌山ラーメンを思わせる新商品を研究中。
「こちらはまだ構想段階ですが、前菜から始まり、デザートで締めるラーメンのコース料理も面白いと思っています。女子会に、また、会社の接待に使ってもらえるラーメン店もいいですよね?」
尽きないアイデア。紀州麺の未来は大きく広がる。
紀州麺処誉…和歌山市西ノ店20。昼=11時30分〜14時、夜=17時〜24時(LO23時30分)。土曜昼と日曜休み(土曜昼は近々、営業を開始する予定)。電話073・488・3141。
(ニュース和歌山/2017年6月14日更新)