海南市を舞台にした映画『ISHICHI』(仮題)が3月、沖縄国際映画祭に出品される。海南青年団体連絡会議を中心に設立した海南映画制作実行委と、吉本興業が共同で制作した映画で、湯谷泰司実行委員長は「地元で映画をつくる貴重な体験ができた。映画を通じ海南をPRしたい」と意気込んでいる。
映画制作は、地域活性化を支援する吉本興業の「あなたの街に〝住みます〟プロジェクト」の一環。脚本作りや出演など制作全体に実行委が関わり、サポートした。約15分の短編で、黒江で守られてきた漆器の椀に隠された秘密をめぐり、住民らが奔走する物語だ。
京都府出身で自主映画を制作する現役の高校3年生、上野遼平さんがメガホンを取った。上野監督は「黒江の歴史を参考に、伝統を守りながらも発展を思う人々の葛藤をファンタジックに描いた。最後に驚くオチがあるので楽しみに」と笑顔。
撮影は1月28、29日に黒江、伊勢部柿本神社などで行った(写真)。主役の漆器職人を吉本新喜劇の青野敏行さん、その娘をアイドルグループNMB48の西村愛華さんが演じる。和歌山出身のお笑いコンビ、わんだーらんどとオーディションで選ばれた市民10人も登場する。
市民80人がエキストラとして出演するほか、海南商工会議所女性会が朝食を作るなど住民ら総出で支援した。市長を演じた落語家の桂小枝さんは「海南は日本の古き良き横と縦のつながりがまだ残っているええとこ。地元の皆様に支えられ、実に良い映画が完成した」と話していた。
(ニュース和歌山2015年2月7日号掲載)