和歌山では珍しいおむすび専門店、むすび家が4月、和歌山市福町にオープンした。開いたのは2年前から和歌山市役所隣でサンドイッチ店、SANDOYAを営む秋山実さん(40)。「いずれも時間や場所を問わず食べられ、どの世代もみんな好き。おむすびやサンドイッチを片手に語り合い、人と人とがつながる〝むすび家〟でありたい」と笑う。
おむすびの不思議な力
前職は医療機器メーカーの営業。病院食は口にしないが、おむすびだと食べる患者に出会い、おむすびが持つ〝不思議な力〟を感じた。
「子どもも茶碗に残したご飯を握ってやると食べる。シンプルな料理ながら、形や大きさ、具材など、作る人の個性や愛情が表れるのが魅力」
味はおかか、しゃけ、うなぎなど15種類。熱々のご飯で具材を優しく包み込む。
「香辛料を混ぜたスパイシーツナ、卵黄キムチなどオリジナルも人気です。東京の老舗の職人に米粒をつぶさない握り方、具材の作り方、つやの出る米の炊き方を教わりました。食べると口の中でご飯がフワッとほどけるように広がり、お客さんは『米が立っている』と喜んでくれます」
好奇心働かせ味追究
和歌山へは12年前、転勤で来た。与えられた仕事ではなく、自分で仕事を生み出したいと思い2年前に退職。和歌山市役所隣にSANDOYAを構えた。
「品川の純喫茶で小学生のころに食べたタマゴサンドが思い出の味。ゆで卵をつぶして作るスタンダードな味でしたが、表面はカリカリに焼き、中はしっとりしたトーストとの相性が良かった。大人になってからも各地を食べ歩きましたね。妻もサンドイッチが好きだったので一緒に自宅で試作を重ねました」
看板メニューは6種類の味から選べるカツサンド。水気が飛ばないようパンを鉄板で焼き、肉厚の豚ヘレを挟む。
「カツサンドを様々なバリエーションで楽しんでもらえるよう、ソース、わさび、塩、味噌、カレーに加え、県産南高梅の梅肉と大葉、タマネギのスライスを和えてカツに乗せた6種類を考えました。地元のパン屋さんや八百屋さん、お客さんの声を生かした自信作です」
将来はサンドイッチとおむすび、両方を食べられる店を持ちたいと考えている。
「どんなおかずにもご飯やパンが付き、相性の良い具材の組み合わせは無限。好奇心を働かせ、新しい味を生み出してゆきたい」
SANDOYA…和歌山市七番丁11−1。午前11時〜午後6時。日曜休み。☎073・488・8088▽むすび家…同市福町28、ハウスブルーネ1階。午前11時〜午後2時(月水金は5時〜10時も)。土日休み。
(ニュース和歌山/2017年6月28日更新)