大規模災害で水道が利用できなくなった時の生活用水を確保するため、和歌山市は6月、井戸の登録制度を始めた。市はこれまで、避難所となる場所にマンホールトイレと井戸をセットで新設する事業を進めてきた。今回、市民が所有する井戸を提供してもらうことで、災害時の備えをさらに加速させたい考えだ。
登録対象は、洗濯や掃除、トイレに利用できる井戸で、色や濁りがなく、ポンプやつるべを備えていることが条件。飲めるかどうかは問わない。
既に7人から申し込みがあった。その1人、同市出島の出島(いずしま)裕さんは自宅隣の井戸を申請。「農業用や散水にしか使っていません。昔は飲んでましたから、検査すれば飲んでも問題ないと思います」
災害対策としての井戸活用は2011年、下水道が備わる地域で、避難所となる学校や体育館へのマンホールトイレ整備事業から始まった。下水に流す水の確保が目的で、広瀬小学校隣の岡東公園や和歌浦小学校など28ヵ所に市が井戸を新設。24年度までに100ヵ所を整備する。
一方、下水道がない地区では、昨年10ヵ所に井戸を掘る予定だったが、調査で確実に水が出そうなところに絞り、新設は高積中学校や河北コミュニティセンターなど7ヵ所にとどまった。このため、今年は井戸の確保を優先し、市民に協力を求めた。
和歌山県内では、5市町が協力井戸制度を設け、昨年始めた海南市は6件の登録がある。和歌山市は地域安全課(073・435・1005)、海南市は危機管理課(同483・8406)。
(ニュース和歌山/2017年7月1日更新)