今回は「いつも上を向いている魚」のお話です。

 ジョーフィッシュは、砂底で垂直に穴を掘って、その中で暮らしています。頭上を通過する小魚やエビなどを捕食するため、いつも巣穴から顔を出し、付近の様子をうかがっています。時折、石や貝をくわえ、巣穴にふたをして隠れることがあり、可愛らしい仕草がダイバーに人気です。

 口(アゴ:JAW)を大きく開くことからジョーフィッシュと呼ばれます。写真の個体が口一杯にくわえているのは卵です。メスの産卵後すぐに、オスが卵をくわえ、ふ化するまで何も食べずに卵を育てます。

 夏場のみなべの海底ではジョーフィッシュのお父さんが献身的な子育てを行っています。

写真=みなべの海底で口内保育中のジョーフィッシュ(オス)

協力:みなべ、田辺ダイビングサービス L−DIVE

塩崎仁美…東大阪市出身。和歌山県内を中心に水中写真を撮影。東日本大震災の被災地でもボランティアダイバーとして活動している。

(ニュース和歌山/2017年7月12日更新)