和歌山のおばちゃんのキャラクターで親しまれる落語家の桂枝曾丸さんが〝防災落語家〟としてデビューした。東南海・南海地震が懸念される和歌山で、落語家ならではの話術を生かし防災をやさしく解く。防災士資格を取得したうえでの取り組みで、7月10日には和歌山市東高松の高松小学校で防災絵解き説法を初披露した。

 和歌山弁落語でおなじみの枝曾丸さん。落語会で防災をテーマにした創作落語を演じるにあたり、1月から防災士の資格講座を受講した。この中で地域住民の支え合いで互いを守る共助の考えに触れ、地域の中で仕事をしてきた自分だからこそできることがあるのではと考え始めた。

 春には日本防災士機構の防災士資格を取得。続いて大阪市消防局の応急手当普及員、民間の心理カウンセラーと防災や救命にかかわる資格を次々に取り、「命と笑顔を守る防災落語家」の活動をスタートさせた。

 高松小には5、6年生や保護者、地域住民ら約200人が集まった。枝曾丸さんは和歌山のおばちゃんのカツラに自前の防災服で登場。「地震が起きたら、まず何をしますか?」と質問した。テンポよく子どもたちとやりとりし、「まず自分の身を守ることに集中してください」と強調。地域の地図入りの絵を示し、「例えばブロック塀。倒れると道を通れません。常に地震が起きたら、町がどうなるか考え、家族と話してほしい」と力を込めた。

 続いて和歌山市消防局の協力で応急手当の講習も実施。児童は10班に分かれ、倒れた人への声のかけ方や心臓マッサージ、AEDの使用方法を学んだ。枝曾丸さんは心臓マッサージを実演する熱の入れようだった。

 6年1組の阪上晴音(はると)くんは「防災グッズなど普段からの備えが大切だとよく分かりました。家でも話しあって災害に備えたいと思いました」。6年2組の古澤里帆さんは「AEDの講習は初めて。少し怖かったけど、倒れている人に対応できるようになりたいです」。

 枝曾丸さんは「笑いは命あってこそ。防災はとっつきにくい印象がありますが、自分が入口になって知ってもらい、一人でも命を救うことにつながれば」と願っている。

写真=地図を使って絵解き説法する桂枝曾丸さん

(ニュース和歌山/2017年7月22日更新)