データに基づく思考を小6生へ

 データやグラフを通じて統計の楽しさを学べる冊子『統計のおはなし』を6月、和歌山県が作成し、県内の全小学6年生約8000人に配布した。県調査統計課は「身近なものごとを数字で表すと新たな発見があります。こうした面白さを冊子から学び取り、データに基づいて合理的に考える力を身につけてほしい」と期待を込める。

 総務省統計局の誘致に合わせ、県内で統計学の出前授業を開く同課。昨年は14の小中学校で1425人に、和歌山の特徴や全国ランキングから見る特産品などを紹介した。今年もすでに10校で実施している。

 冊子は、「白衣の天使」と呼ばれたナイチンゲールが兵士の死因を説明するためにグラフを活用した歴史や、コンビニエンスストアで弁当の売れる時間が曜日によって異なり、そこから仕入れ数を調整できることなど、統計データが生かされた具体例を掲載。月日別の支出額と年間行事から何のグラフかを当てるクイズ、県内小学生の生活時間や取り組んでいるスポーツの割合も盛り込んでいる。

高齢者支える仕事 現状や体験談紹介

 高齢者の増加に伴い、不足する介護職員の仕事に興味を持ってもらおうと、和歌山県社会福祉協議会は冊子『あなたと考える介護のしごとHeart To Heart』を県内の全中学2年生約8500人に配布している。県社協の雑賀輝正さんは「若い世代が介護を身近に感じ、将来職業を考える際、選択肢の一つになれば」と望んでいる。


 県の要介護・要支援認定率は2016年3月時点で22・2%と、2年連続全国トップ。30年には、必要な介護職員2万6919人に対し、5972人の不足が見込まれる。

 冊子は、在宅と施設での介護の違い、制度の仕組み、専門職員になるための資格や学校を取り上げた。実際に働く職員のやりがいや目標、1日のスケジュール、介護職員を目指す中学生への一言などを、イラストや写真を交えて紹介。介護職員の待遇、資格取得のための支援なども掲載している。

(ニュース和歌山/2017年8月5日更新)