レコード会社の徳間ジャパンコミュニケーションズとラジオ日本による演歌・歌謡曲新人アーティストオーディションの決勝大会が8月26日に開かれ、和歌山県岩出市の末吉実鈴さん(21、写真)がグランプリに輝き、デビューを勝ち取った。夢に描いた演歌歌手の道を切り開いた末吉さんは「10歳からまっすぐ演歌一筋だったので、グランプリと聞いたときは泣き崩れました。次の夢は紅白、レコード大賞です」と喜んでいる。

 祖母の影響で小学生のころからマイクを手にし、カラオケ雑誌を開いては演歌の新曲を探し、お気に入りを聴きあさった。和歌山市立西脇中学校卒業後、プロを目指し大阪スクールオブミュージック高等専修学校に進学した。

 低く力強い声が持ち味で、中でも好きなのは「カッコイイ男前な歌」。坂本冬美さんの『あばれ太鼓』や『羅生門』を歌い込んだ。これまでカラオケ世界大会と全日本こころの歌謡選手権でファイナリストに残り、日本テレビの全日本歌唱力選手権で準優勝したが優勝には一歩届かず、悔し涙をのんできた。

 今回は母、哉子(ちかこ)さんのアドバイスを受け、初めて石川さゆりさんの『転がる石』で挑戦。2500人の中から決勝進出の12人に選ばれ、横浜市で開かれた決勝大会へ進んだ。こみ上げる緊張をふりほどき迫力ある声で歌い上げ、メジャーデビューの切符を手にした。

 見守ってきた哉子さんは「本番はよく歌えていました。最近は歌い方、気持ちの入れ方が以前と全然違い、大人になったと感じる。これから人の心に届く歌を歌ってほしい」と目を細める。

 まもなく東京でデビューに向けたレッスンが始まる。末吉さんは「演歌の魅力は人間の心が歌えるところ。坂本冬美さんの色気、石川さゆりさんのかっこよさにあこがれます。しっとりよりも男っぽく、『この人の声が好き』と言われる歌手になりたい」と描いている。

(ニュース和歌山/2017年9月13日更新)