高齢者の居場所づくりのため、住民が運営するふれあいいきいきサロンの開設が海南市で相次いでいる。2014年は8ヵ所だったが、現在は17ヵ所に。参加者も増えており、14年の1496人から、今年は3500人以上を見込む。同市社会福祉協議会の村木理恵さん(34)は「サロンの様子で『認知症かもしれない』『やせてきている』と周囲が変調に気付き、専門機関の相談につながるケースもある。互いに支え合っています」と語る。

 地域のつながりを強めようと、和歌山県社会福祉協議会は11年、サロン開設のため各市町村に助成を始めた。同市は交流の場が近くにほしいとの相談が多く寄せられていたことから、民家にも開設できるサロンに注目。15年から独自のサロンリーダー養成講座を設け、新規開設希望者を募った。同年以降新たに立ち上がった9ヵ所のメンバーのうち、7ヵ所19人が市の講座の修了者だ。

 一昨年4月に同市重根の大谷団地で立ち上がった「たのしい会」は代表の池田美智子さん(87)の呼びかけで発足。児童会館に毎月1回、30人程度が集まり、催しは自作のポケットゴルフやクイズ大会と毎回変わる。参加する蔦尾正和さん(73)は「自分たちで何をやるか1からすべて考える。今まで話さなかった人と話すきっかけが生まれ、地域に活気が出ました」。池田さんは「車に乗り合わせ遠出するようになった人もおり、閉じこもり予防に効果を上げています」と話す。

 同市社協は今後も立ち上げを促し、数を増やす方針。村木さんは「高齢者の孤立を防ぎ、日常生活を互いに見守り合う関係が生まれています」と喜んでいる。

写真=大谷団地のサロン。体操や寸劇など催しは参加者が自由に考える

(ニュース和歌山/2017年9月23日更新)