〝世界で最も美しいクワガタ〟と呼ばれるニジイロクワガタがこの夏、我が家にやってきました。世界の昆虫を紹介するイベントの会場でくじ引きを行っており、小学1年の息子がまさかの2等を引き当て、その賞品がオセアニアに生息するこのクワガタのオスとメスでした。
初めてその名を聞いた「ニジイロクワガタ」、さてさて、ちゃんと育てられるだろうか…。くじ担当者に「日本のクワガタと同じように飼えばいいんですか?」と質問するも、返事は「私、全く分からないんです…」。
本やインターネットを参考に世話しましたが、オスは3週間で死んでしまいました。息子と土に埋めてあげようと話していたところ、以前、県立自然博物館の松野茂富学芸員から「外国産の虫は逃がさず、死がいや飼っていた土も野外に捨てない」と聞いたのを思い出しました。
主な理由は、特にクワガタのメスは死んだふりをすることがあり、土は卵や小さな幼虫が残っているかもしれないから。生態系を乱さないため、生きたまま自然に放す可能性がある行動は避けなければなりません。
松野さんによると、外国産のクワガタやカブトムシが国内で発見された例は、残念ながらかなりあるそう。県内でも、東南アジアにいるアトラスオオカブトと見られる死がいが和歌山大学周辺で見つかっています。
虫だけではありません。同館で8月から展示中のアカヒレは中国などが原産の観賞魚ですが、和歌山市内の用水路で捕まえられたものです。すさみ町のエビとカニの水族館で7月から展示している熱帯魚カクレクマノミも、串本町の海岸に捨てられていました。
飼っていた外来種を自然に放すと、在来種を食べたり、在来種の生息場所を奪ったり、在来種と交雑することも。松野さんは「なかなか語られないタブーで、最悪の選択」としながら、「手に負えなくなった場合、自身の手で殺すことも重要な飼育プロセス」と言います。
この選択をしないためにも、飼う前に寿命や飼育費用を調べる、万が一、飼えなくなった時、代わりに面倒を見てくれる人を探しておくこと。外国の生物がホームセンターで売られる時代だからこそ、最後まで責任を持つ大切さを、学校で教える必要はあるでしょう。少なくとも、飼う際のマナーを、くじの当選者に伝えることぐらいは守っていただきたいものです。 (西山)
(ニュース和歌山/2017年9月23日更新)