伝法橋亭で紙切り披露


 寄席で落語や講談の間に披露される伝統芸能の一つ、紙切り。話術で会場を盛り上げながら、鮮やかなはさみさばきで作品を仕上げるこの芸を得意とするのが、和歌山市民会館落語倶楽部「紀(しるす)の会」のサンキス亭レモンこと麻生典子さんだ。4年前には上方落語協会主催「彦八まつり」の素人演芸バトルで準優勝した腕前。「落語もするんですけれど、悔しいかな、紙切りの方が受けはいいですね(笑)」。10月14日(土)に同館である落語会「伝法橋亭」でも披露する。

 藤娘に桃太郎、ピカチュウにドラえもん…。はさみを巧みに動かし、紙に命を吹き込む。「何で動きながら切ってると思います? これ、じっと切ってると…地味なんです」。客は笑いながらも、レモンさんの手先に注目する。

 小学校教諭のレモンさんは8年前、「授業がうまくなれば」と落語の研修を受けた。その後、勤める学校で落語クラブを立ち上げ、子どもたちと校内で発表するほか、夏休みなどに介護施設を回って披露する。2014年秋から半年間、桂枝曾丸さんが講師を務める同館落語ワークショップを受講し、翌15年春、紀の会へ入った。

 一方、寄席で行われる紙切りにも興味を持ち、4年前から独学で腕を磨く。今年春には熊本地震の仮設住宅にある集会所を慰問。熊本県PRマスコットキャラクターくまモンを披露した。

 来週の伝法橋亭では、美空ひばりさんの歌マネをしながら、紙切りを見せる。「彦八まつり」で今年、会場を沸かせた芸だ。「プロのようにその場でリクエストを受けて仕上げるのはなかなか難しいですが、将来はお客さんの似顔絵を切り、プレゼントできるようになりたいですね」と目標を掲げる。

 伝法橋亭は14日午後1時、同館市民ホール。紀の会の8人が「鬼の面」「時うどん」「子は鎹(かすがい)」などを披露する。レモンさんは「寝床」を聞かせる。無料。同館(073・432・1212)。

写真=「はさみではなく、紙の方を動かすのがコツ」とレモンさん

(ニュース和歌山/2017年10月7日更新)