郷土の先人や残された建造物を顕彰するシンポジウムが11月、和歌山市で開かれる。「陸奥宗光 外務大臣」の功績を教育に活かす実行委は3日(金)午後2時、同市手平のビッグ愛1階で、同市今福の国登録有形文化財、郭家住宅の保存を目指す郭家住宅の会は11日(土)午後1時半、同市吹上の県立近代美術館で開催する。

陸奥の功績振り返る

 陸奥(写真)は、明治時代に活躍した同市出身の外務大臣。欧米諸国との不平等条約改正に尽力し、近代日本の国際的立場を守った。この功績を子どもたちに伝える同実行委は、陸奥の没後120年を迎えた今年、講演会やセミナーを開催。明治天皇の誕生日にあたる3日にシンポジウムを企画した。

 

 当日は、東京大学公共政策大学院客員教授の竹内春久さんが「陸奥宗光と現代の国際社会」、小学校教諭で銅像教育研究会代表の丸岡慎弥さんが「陸奥宗光伯から学ぶ人生の在り方とは」をテーマに講演。「陸奥宗光伯の歩んだ大政奉還・明治維新」と題した討論も。無料。希望者は実行委(073・472・5619)。

郭家住宅 活用探る

 一方、郭家は、医師の郭百輔さんが1877年に建てた洋館。正面にバルコニーを設けたベランダコロニアル様式が特徴で、奥に陸奥の生家と言われる江戸時代の数寄屋が残る。老朽化が進み、個人での維持管理が難しく、今年7月に郭家住宅の会が立ち上がり、保存、活用の道を模索する。

 11日のシンポジウムでは、建築史が専門で、自然や歴史文化を生かした建築を生み出してきた東京大学の藤森照信名誉教授が、明治初期洋風建築について講演。続いて、同会世話人代表で近代建築史家の西山修司さんをコーディネーターに、藤森さんや地元自治会長らを交え意見を交換する。

 500円。当日午前10時から美術館受付で整理券を配布。西山さん(同445・3633)。なお、第1日曜午前10時〜午後3時に住宅を一般公開。12月2日(土)と3日(日)は美松市場や水軒の海水浴場など周辺の古い写真を展示する。

(ニュース和歌山/2017年10月28日更新)