「最近、子どもたちとかかわる活動がしにくくなってるんです…」。遊びを通じ子どもたちの自主性や創造力を伸ばす活動をする和歌山市BBS会の金川佳史さん(52)から聞きました。
金川さんは、仕事が休みの平日、公園へ出かけ、シャボン玉やおいかけっこなどをして子どもたちと遊びます。一緒に笑い、汗を流し、楽しい時間を過ごすと自然と打ち解け、一部の子どもは金川さんが聞かずとも、家庭や学校での出来事や悩み事などを話し始めます。「家庭事情や学校のことなど、子ども同士や親、先生に相談できないことを話せる〝第三の大人〟の存在が大切。悩みを解決できなくても、寄り添って話を聞いてくれる大人がいるだけで、安心感が生まれます」と活動の必要性を強調します。
しかし、一見、大人が子どもたちに混じって遊んでいるだけなので、周りの大人から「子どもたちと遊ぶだけで何の意味があるの?」「子どもが見知らぬ人に声をかけられた」など不審者のように言われることがしばしば。活動の趣旨を学校や保護者に説明しても、学校から「子どもたちと接触しないように」と理解されないまま突っぱねられたこともあるそうです。
誘拐や殺人など子どもが犠牲になる事件が後を絶たず、保護者や学校関係者が慎重になるのは当然です。自分の子が見慣れない男性に声をかけられている場面に直面すると、きっと戸惑うでしょう。ただ、相手を深く理解しないまま、子どもにかかわろうとする大人を「とにかくダメだ」と事なかれ主義的に排除してしまうのは、子どもにとっても不幸なことです。
金川さんの活動は、一昔前まで公園や隣近所にいた世代の違う大人たちになり代わるものです。話を聞いてもらい、親や先生とは違う意見を教えてくれる地域の大人は貴重です。周囲になかなか理解されにくいかも知れませんが、保護者や先生といった大人、同世代の友人、行政が設ける相談電話や窓口では救えない、いわば〝支援の網〟からこぼれた子どもを救える可能性を秘めているのです。
事件や事故が起きてしまってからでは手遅れですが、敏感になりすぎると、子どもと大人をつなぐ機会も失われます。地域の大人同士が顔の見える関係を築き、安全を確保した上で、様々な大人が子どもたちを見守る環境を整える。それが、子どもにとって一番だと思います。(林)
(ニュース和歌山/2017年10月28日更新)