和歌山市には弘法の滝、水滝不動瀑、馮夷の滝という滝が存在する。中でも、特筆すべきは馮夷の滝。『紀伊続風土記』に「境内清泉あり、水旱に増減なし、水尢清冷薬水に用ふれは効験ありといふ、寺地広野に臨み眺望の景愛すへし」と記される由緒ある滝なのだ。
驚くことに、滝の存在は平安時代にさかのぼり、弘法大師が拓いたとも伝わる。滝を祀るために、大日山の西麓に大日堂という堂を構え、村人に長く崇敬されてきた。
三方を石壁に囲まれた高さ3㍍に満たない細い滝。しかし、大師ゆかりのこの水を飲むと、霊験あらたかで、今も井辺地区の人から高い支持を受けている。滝とともに『紀伊続風土記』に記されていた「牛岩」もある。訪ねてみていただきたい。
(ニュース和歌山/2017年11月18日更新)
大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。