先日、和歌山市民図書館にある移民資料室に初めて入った。和歌山からは第2次大戦前、南北アメリカやハワイなどへ3万1000人が海を渡ったほどで、全国6番目の移民県▼資料室は、国内で唯一、公共図書館に併設され、1万冊の書籍など充実度は高い。利用者の半数は、自らのルーツを求め海外から訪れる人と、親類の足取りを調べる人とされ、遠く離れた祖国に残る足跡を確認できるのは貴重だ▼県内では、美浜町に民間のカナダ資料館がある。来春、町内で移転し、宿泊施設やカフェを併設、移民関連講座や小中学生対象のふるさと教育を計画する▼一方、和歌山市の資料室は陰が薄い。それでも重要性を知る人から、「移民データバンクのある観光施設にして、訪日時に立ち寄ってもらえるよう世界の日系人に発信を」と提案がある▼美浜町のように、教育の場で移民を学ぶ機会をつくる意味は大きい。楽しみながら歴史に触れられる工夫をすれば、地元からも海外からも関心が高まるはずだ。(小倉)
(ニュース和歌山/2017年11月25日更新)