スペインで10月8日~10日に開かれた国連世界観光機関(UNWTO)の国際会議で、「観光分野での能力開発に関するアイデア競技会」が行われ、和歌山大学観光学部4年生4人の提案が世界一に輝いた。テーマは「世界観光倫理憲章を次世代に伝えるためのコンテンツ開発」。リーダーの村田直寛さんは「次世代=子どもと位置づけ、子どもに分かりやすい観光倫理の解説書を作ったことが認められました」と笑顔を見せる。
UNWTOは160以上の国と地域から約500団体が参加する観光関連の国際機関。学生対象に観光分野の能力開発アイデアを募ったところ、50を超える応募があり、書類審査を通過したスペインやコロンビア、オーストラリアなど8校が競技会で発表した。
倫理憲章 分かりやすく解説
他チームが具体的な能力開発や交換留学などを提案する中、和大チームはUNWTOが根底に据える観光倫理憲章に着目。長期ビジョンとして、「2030年に観光を担うのはだれか」を考え、小学生を対象に決めた。
憲章は10条からなり、旅行者や観光事業者の権利、持続可能な開発などを定める。原文をやさしく要約した上、子どもが親しめるよう具体例をストーリー仕立てで紹介する。枠谷愛音さんは「原文、要約、ストーリーの3段階で解説することにこだわりました」。最終的に英文冊子にまとめて披露。身ぶり手ぶりを交えて、優勝を手にした。
UNWTOでのインターンシップに参加するメンバーの嶋川久瑠実さんは「現地の機関に飛び込み、交流を深めることで観光への視野が広がりました」。村田さんは「本当に子ども用と言えるか、課題が残ります。今後、改良を加え、後輩に引き継ぎたい」と話していた。
写真=スペインで発表する和大生4人
(ニュース和歌山/2017年12月2日更新)