ベートーヴェン自筆楽譜も

 紀州徳川家16代当主、頼貞が収集した西洋音楽関連資料「南葵音楽文庫」が12月3日、和歌山市西高松の和歌山県立図書館と同市吹上の県立博物館で公開された。2万点に及び、デジタル化を終えたものから順次公開予定で、現在は図書館で1600点、博物館で100点を展示している。

 資料は昨年、読売日本交響楽団から和歌山県に寄託された。ベートーヴェンの自筆楽譜を始め、モーツァルト、バッハ、ワーグナーらの楽譜や書籍、雑誌などがある。

 文庫は頼貞の父、頼倫が1902年に設立した私設図書館、南葵文庫の音楽部が起源。頼貞が引き継ぎ、さらに充実させた。32年の閉館後、慶応大学図書館などに保管され、77年以降は同楽団が所蔵。楽団が収集した書籍も1万点にのぼる。

 資料のデジタル化を指揮した慶応大学の美山良夫教授は「日本で唯一の楽譜が多数ある。頼貞が演奏時の注意点を書き込んだ楽譜など、実物を手にすることができる貴重な機会です」と説明する。

 図書館には同文庫閲覧室が設けられ、楽譜や書籍を公開。毎週土曜午前11時から講座がある。

 博物館では1月21日(日)まで企画展「音楽の殿様・頼貞の楽譜コレクション」を開催し、ベートーヴェンの自筆楽譜やロッシーニの書簡、ヘンデルが書き写した楽譜と、特に貴重な資料を展示。12月17日(日)から毎週日曜午後1時半、研究員による解説がある。

写真=コレクションを手に取る美山教授

(ニュース和歌山/2017年12月13日更新)