794年、21歳の僧がこの山に草庵を結び、修行した。そのころ、この土地の民が水不足に苦しんでいたため、僧は呪文を唱え、杖を岩に突き刺した。すると、たちまち水が湧き、滝となった。
喜んだ村人が僧のもとに来ると、滝に一筋の光明が差し、金色に輝く不動明王が降りてきた。この僧こそ、若き日の空海であったと伝わる。
草庵跡は「庵ノ平」と言い、空海がこの滝を手水に使ったため、手水の滝と呼ばれた。1932年、滝の下から仏像が発掘され、三石山不動寺御供所拝殿が建立された。
滝見道は崩落し、滝の傍らにあった不動明王像は拝殿の横に移されている。今も滝に打たれる石仏の姿を見ると、いつ不動明王が降りてきてもおかしくないと感じた。
(ニュース和歌山/2018年1月20日更新)
大上敬史さん作製「和歌山県の滝」で、県内の滝が紹介されています。