ミニチュア作り7年
自ら創造した寺や城の模型を精巧に作る人がいる。和歌山市岩橋の前田宣治さん(74)は、7年前から木でミニチュアを作り、近隣の小学校や老人ホームに寄贈している。「じっくり見てニコニコしている人、一斉に寄ってくる子どもたちを見かける。これが次の作品を作ろうとやる気にさせてくれます」と意気込みを語る。
子どものころからもの作りが好きで、小学生時代、木と紙で作る飛行機、ライトプレーンの和歌山大会で優勝した経験がある前田さん。退職後、法隆寺に行った際、その美しさに魅了された。早速ホームセンターで材料を探し、独学で高さ60㌢以上ある五重塔を作った。
今まで作った寺と城は30。いずれも城と城下町の写真集を参考に、架空の建物や敷地の構成を考えた。敵を監視し、威嚇するため石を落とす穴、鉄砲を撃つ穴など、細部まで再現する。制作時は、物差しより正確に測れる工具ノギスを使うこだわりよう。つまようじほど細い丸棒と角棒を交互に並べて作る屋根は、棒の削り方を変え、軒先に少しずつ反りを付け、優美な曲線を描く。
現在は、諏訪高島城をモチーフにした4層の城に取り組む。「城は建物が大きければいいわけではなく、100万石には100万石の、10万石には10万石のストーリーがある。そこにはどんな殿様が住み、どんな大きさ、設備、形にするのか。完成を想像し、それを生み出すのが楽しいですね」と笑顔を見せた。
写真=細部にまでこだわって作る前田さん
(ニュース和歌山/2018年2月17日更新)