トンガの鼻自然クラブ 「理解できない」

 まもなく桜の季節。薄ピンクの花を咲かせ、和ませてくれる桜で、心を痛めている人たちがいる。和歌山市雑賀崎で活動するトンガの鼻自然クラブが12年前、雑賀崎工業団地南端の緑地に植えた桜のうち、最も大きく成長していたオオシマザクラ1本が何者かによって切られ、持ち去られた。同クラブの松川由喜子さんは「冬の寒さに耐え、花を咲かせようと準備をしていたところで…。なぜ切ったのか、理解できません。二度としないで」と怒りをあらわにする。

 雑賀崎台場跡がある岬、トンガの鼻と周辺の環境整備に取り組む同クラブ。その北側にある緑地は埋め立てる以前、地元の人が「ナカヤマの浜」と呼ぶ砂利の浜があった場所だ。クラブ内では親しみを込め、この緑地を〝ナカヤマの浜広場〟と名付け、管理する和歌山下津港湾事務所の許可を得て、梅や藤、アジサイなどを植樹してきた。

 桜は2006年と07年、カワヅザクラやヨウコウザクラはじめ様々な種類を合わせて約40本植えた。定期的に肥料をやったり、周辺の草引きをしたりと、愛情を込めて育ててきた。

 今回、姿を消したのは、高さ5~6㍍にまで成長していたオオシマザクラ。昨年12月18日、新たにカワヅザクラを植樹した際には異常はなかったが、今年2月5日、同クラブの中口重喜代表が訪れると、根元から切られ、直径20㌢ほどの切り株が残るだけに。すぐさま警察に被害届を出した。

 松川靖副代表は「毎年、ソメイヨシノの後、4月中旬から1週間ほどきれいな花を咲かせてくれていました。桜を植えてからは散歩する人が増え、近所にある工場の方が木の周辺で昼食を取ることも増えているのに…」と残念がる。

 切り株の横には、切った人への思いをしたためた看板を設置。メンバーは繰り返されないか心配しながら整備を続ける。

写真=切り株の周囲を手入れするメンバー/同下=2012年4月に撮影。被害に遭ったオオシマザクラ(一番左)も木いっぱいに花を付けている

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 ◎なだの浜クリーンアップ大作戦…3月14日(水)と28日(水)各日午前10時。雑賀崎に唯一残る砂浜、なだの浜。昨年秋の台風で流れ着いた大量の巨木やタイヤ、ペットボトルなどを片付ける。申し込み不要。同クラブ(073・447・0844)。

(ニュース和歌山/2018年3月10日更新)