具材とパンの組み合わせは100通り以上。1980年の創業以来、〝真心をパンに込めて〟をモットーにサンドウィッチを提供し続ける老舗店、サントピア(本店・和歌山市東長町)は、店内でほおばる客に加え、この季節は花見やハイキングのお供にとテイクアウトする人たちでにぎわう。創業者で自ら店に立つオーナー、森下佳子さん(63)に話を聞いた。

原点は母の味

──サンドウィッチ専門店を開いたいきさつは。

 「子どものころからごはんよりパンが好きで、きょうだい3人のうち、私だけ魚や煮物、おひたしなどのおかずを食パンにのせて食べていました。ある時、母が昼食に卵サンドを作ってくれたのですが、ケチャップを切らしており、同じ赤いものだからと、ゆで卵をつぶしたものと一緒にイチゴジャムをはさんでくれたんです。それが本当においしくて。この母のミモザサンドが店を開こうと思った原点です。サンドウィッチは型にはまったものではなく、こんなに楽しい食べ物なんだと知ってほしくて開店しました」

──卵にお肉、魚介系にフルーツと、メニューが多く迷ってしまいます。

 「具材は少しずつ増やしていますが、1980年の開店当時から大きくは変わっていません。そんな中、ミモザサンド、そして果物たっぷりのフルーツサンドが開店当初から今もずっと人気の上位トップ2ですね」

肉厚椎茸バーガー

──具材だけでなく、パンも選べるんですね。

 「主要なメニューは、食パン、アラビアパン、イギリスパンからお選びいただけます。食パンは午前3時、8時、そして正午と1日に3回、届けてもらっています。焼きたてを味わってもらいたいですから。このほかにフォカッチャ(イタリア料理の平たいパン)、フランスパン、クロワッサンなどを使ったものもあります。どのパンも、やわらかさ、きめの細かさなどを基準にパン店を探し歩き、選んだものです。パンは具材のおいしさを上手に引き出してくれる組み合わせを考えています。さらに、はさむ具材の順番で味は変わります。その点も大事にしています」

──このほか、気を配っていることは。

 「食材は可能な限り、地元和歌山のものを使うように心がけています。3年前に出した紀州梅椎茸(しいたけ)バーガー(写真右)は、県庁食品流通課が進める『紀州梅バーガー開発研究会』に参加させていただき、考案した一品です。梅を使ったバーガーに合う食材を探す中で出合ったのが、田辺市龍神村で日高川の清流を使って栽培されている椎茸でした。直径11〜12㌢と大きく、厚さ3㌢と肉厚でジューシー。この椎茸に、梅を練り込んだミンチを詰めてフライにし、大葉やレタス、そして紀州南高梅ソースを、フォカッチャではさみます。フォカッチャにしたのはサンドウィッチ店のこだわりです」

あふれる具材

──他のサンドウィッチも飛び出そうなぐらい具が入っています。

 「片手で食べられる軽食としてでなく、両手で食べてもらう、しっかりした食事としてのサンドウィッチをと考えてきました。たかがサンドウィッチ、されどサンドウィッチです」

──様々な形で真心を込められていますね。

 「使う野菜は年間通しての入荷は難しいものの、できるだけ無農薬や有機栽培にこだわり、また、環境保護や農園で働く人々の暮らしの向上に取り組んでいるレインフォレスト・アライアンスの認証を受けた農園のコーヒー豆を13年前から使っています。安心、安全の物を提供する姿勢は変わらず守っていきます」

【サントピア本店】
和歌山市東長町10-13
9:00〜18:00
月曜休み
☎073-426-2080

【サントピア ステラ】
和歌山市小松原通1-1
県民文化会館2階
10:00〜18:30 不定休
☎073-426-7839

(ニュース和歌山/2018年3月28日更新)