103年ぶり 観賞用に期待
紀伊半島南部に分布するクマノザクラが、国内にある野生のサクラとしては103年ぶりの新種と確認された。2016年、17年に現地調査を行った森林総合研究所(東京都)が3月13日に発表した。同研究所がまとめた論文は6月に日本植物分類学会が発行する学会誌に掲載される。
国内ではこれまで9種類の野生のサクラが確認されている。また、ソメイヨシノのように人工的に交配してできた栽培品種が多数ある。
クマノザクラはこれまで、ヤマザクラかカスミザクラが変異したと考えられていたサクラ。ヤマザクラ、カスミザクラに比べて開花時期が早く、葉の長さや幅が小さいなどの違いが分かった。熊野川を中心に南北90㌔、東西60㌔の範囲で確認されたことから、クマノザクラと命名した。
3月18日、古座川町で開かれた和歌山県主催の説明会には約80人が参加。見ごろを迎えたクマノザクラの前で、調査に当たった森林総合研究所、勝木俊雄さんの説明に耳を傾けた(写真)。
ソメイヨシノより咲く時期が早く、開花中は葉があまり伸びないことから、観賞用に期待される。同研究所は「優良な個体を選抜し、増殖方法を確立すると共に、病害への抵抗性の検定を行い、高品質な種苗の普及を図りたい」としている。
(ニュース和歌山/2018年3月28日更新)