農家有志らのグループ 5月 農業塾スタート

 農薬、肥料、除草剤を使わない自然栽培を広めようと、農家有志らでつくる「自然の郷きのくに」が5月、自然農業塾をスタートさせる。和歌山市、岩出市、紀の川市で自然栽培に取り組む農家を中心に昨春結成したグループで、ノウハウを伝授する。森光司会長は「将来的には安心できる農産物を学校給食にも取り入れてもらえるようにと描いています。そのためにも、担い手を増やすきっかけに」と張り切っている。

 自然の郷きのくには昨春、「和歌山自然農法研究会」の名称で発足。毎月1回、勉強会を重ねている。現在は農家やオーガニック食品店経営者ら16人が所属する。

 事務局を務める片山篤さんは紀の川市やかつらぎ町で8年前から、米、柑橘類、野菜の自然栽培を行う。「収穫した8割は関東地方の個人宅へ送っています。『えぐみがなくておいしい』など好評ですね」。同じく8年前から、紀の川市桃山町で桃の超減農薬栽培に取り組むのは副会長の豊田孝行さん。「農薬は年1回だけ。虫はクモや鳥が食べてくれるし、除草剤を使わなくても、雑草の上の方だけ刈ってやれば、桃と草は一緒にすめます」と話す。

 メンバーは今年2月、自然栽培を行う農家をJAがバックアップしている石川県羽咋市(はくいし)を視察。JAはくいが開く農業塾にヒントを得て、今回の自然農業塾を企画した。

 初年度の今年は、自然栽培で作りやすいサツマイモと大豆を題材に選んだ。サツマイモはやせた土地でも育ち、また、大豆は「深く根を張るため、硬くなった土の通気性が良くなる。後に栽培する他の農作物が育てやすくなるんです」と森会長。

 畝の作り方、種まき、草刈り、収穫など毎月テーマを決め指導する。森会長は「土を育てる技術から教えます。棒が40㌢ぐらいしか刺さらない土に、光合成細菌、乳酸菌、納豆菌、酵母菌をまくと2㍍まで入るように。それだけ水はけが良くなる。肥料を使わなくても、土が変わっていくのを見てもらえます」。

 自然農業塾をきっかけに、自然栽培に携わる農家を増やしたい考え。さらに今後も、自然栽培を広げるための取り組みを見据える。片山さんは「羽咋市は海外への輸出も行っている。会として販売にも力を入れていきたい」、豊田副会長は「家庭菜園に役立てたい人でも、がっつり農業したい人でもいい。まず土に触れてもらい、みんなで食や農業について考えながら健康になっていけるような活動ができれば」と意気込んでいる。

写真=土壌改良のため、光合成細菌などをまく森会長

◇     ◇

 自然農業塾は5〜12月に毎月1回、全8回で5000円。紀の川市東大井の畑で実施。初回は5月27日(日)。だれでも参加可で、農業経験の有無は問わない。米や果樹の自然栽培を希望する人には個別対応を検討する。希望者は片山さん(0736・77・2956)。

(ニュース和歌山/2018年4月14日更新)