和歌山県内初成功 高い操作性
県立医科大学(和歌山市紀三井寺)は手術支援ロボット、ダヴィンチを使った直腸がん手術を県内で初めて成功させた。第二外科の山上裕機教授らの研究チームが1、2月に2人の患者に実施。山上教授は「腹部を切る従来の手術に比べて患者の体への負担が小さく、術後の痛み軽減や早期回復が期待できる。まずは10例、実績をつくりたい」と話している。
県立医大が2012年に導入したダヴィンチは、3次元高解像度カメラと、執刀医の手の代わりとなる棒状の器具を体内に挿入して手術ができる機械。手術器具の先端は人の手以上に自由度の高い操作ができ、これまで、前立腺がんの手術などに活用してきた。
直腸がんは骨盤の奥に腫瘍(しゅよう)があり、腹部を切って医師が直接手を入れて切除する手術は難度が高く、小さな穴をあけて棒状の細長い手術器具を入れて行う腹腔鏡下手術も器具の操作性の低さが課題だった。今回、ダヴィンチを使うことでこれらの課題をクリア。腹部に8~12㍉の穴を6ヵ所開け、器具を挿入し、がんの切除と傷口の縫合に成功した。
同チームは「がんを取り切るための周囲組織を含めた直腸の切除と、その外側に接する性機能や排尿をつかさどる骨盤内自律神経の温存がより確実に、容易に行える。従来の手術法より合併症の発症リスクが低く、今回の患者も経過は良好。術後約1週間で退院できた」と説明している。
写真=3次元高解像度カメラを活用して手術を行う
(ニュース和歌山2015年2月21日号掲載)