友の会 サ高住建設へ寄付募集

 視力と聴力、両方を失った盲ろう者を支援する和歌山盲ろう者友の会は、当事者が優先的に入居できるサービス付き高齢者住宅(サ高住)の建設に向け寄付を募っている。6月16日(土)にはPRイベントを実施。瀬戸節子事務局長は「まずは盲ろう者について知ってほしい。彼らが安心して暮らせる場づくりにご協力を」と呼びかける。

 同会は、JR和歌山駅前のみその商店街に工房を構え、当事者が作ったさをり織り商品を販売。視覚、聴覚ともに失った人は県内に300人ほどいるとみられ、手話の手に直接触れる「触手話」で意思疎通を図る。

 近年、盲ろう者の高齢化が進み、「親が亡くなった後、兄弟や親族がおらず行き場がない」との声を受け、盲ろう者向けの施設整備を思い立った。瀬戸さんは「先天性の病気だけでなく、事故や病気の進行で中途障害を負う人もいます。高い年齢層ほど人数が多く、将来への不安が大きい」と明かす。

 8月に和歌山市西浜地区へ建設。建築と当面の運営費に約1億5000万円かかる。老人ホームだと行政からの支援も手厚いが、「家族が一緒に住めて、それぞれの暮らし方をできるだけ尊重できるように」と支援の少ないサ高住を選んだ。12部屋ある個室は、目や耳が不自由な人向けに、振動やランプで来客を知らせるインターフォンを設けるほか、手話ができるヘルパーや職員が常駐する。食堂と風呂は共同で使う。

 工房を利用する男性は「周りとのコミュニケーションがうまくいかず、引きこもりがちになる。盲ろう者が集まって暮らし、スタッフも意思疎通できるのであれば、これほどありがたい場所はない」と期待する。

 6月16日は午後1時15分から、同市南中間町のメイウインドカフェで実施。手話を付けて歌う強力翔さんと、耳が聞こえないダンサーのyossyさんとTAaKAさんによる3人組「オイカゼ」のステージと、盲ろう者の現状についての紹介がある。1000円。

 寄付は一口3000円から。同会(073・498・7756)。

写真=「まず盲ろう者について知って」と瀬戸さん

(ニュース和歌山/2018年5月23日更新)