『見栄を張る』和歌山県内劇場初上映

 海南市や紀美野町で撮影された長編映画『見栄を張る』が6月15日㊎~28日㊍、和歌山市松江のジストシネマで上映される。和歌山県内での劇場公開は初めてで、藤村明世監督(27、写真)は「目標だった和歌山での公開が叶ってうれしい。和歌山の皆さんとつくり上げた映画です。地元の人にこそみてもらい、恩返しになれば」と力を込める。

 同町の古民家を主な舞台に、2015~16年に撮影。海南市のまちづくり団体と住民が、ロケ地探し、エキストラや宿泊先の手配と全面的に協力した。

 売れない28歳の女優が故郷の和歌山に戻り、他人の葬式で涙を誘う「泣き屋」の仕事を通じて生き方を見つめるストーリー。主演を女優の久保陽香が務めた。紀美野町の田園、黒江地区の古い町並み、下津町の大崎漁港など美しい景色が物語に彩りを添えている。

 藤村監督は、是枝裕和監督が製作総指揮を務める今秋公開予定のオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一ぺんを手掛けており、新鋭として注目されている。『見栄を張る』は国内外の映画祭に出品した後、今年3月に渋谷と横浜のミニシアターで公開され、渋谷では1週間延長されるほど盛況だった。これを受け、和歌山や大阪、愛知ほかでの公開が決定した。

 藤村監督は「女優で泣き屋という特殊な設定だけれども、色んな感情を描いているので、多くの人に共感してもらえるはず」と笑顔を見せる。

 藤村監督と助監督3人の過去作、短編映画上映会&トークショーを14日㊍午後7時半、紀美野町簑垣内の真国の荘、17日㊐8時、和歌山市島崎町のじゃんじゃん横丁内天空で行う。無料。申し込み不要。詳細は「見栄を張る」フェイスブック

写真= 映画のワンシーン(©️Akiyo Fujimura)

(ニュース和歌山/2018年6月2日更新)