和歌山県「避難や訓練で活用を」

 南海トラフ地震など大規模災害時に、1人でも多くの人が逃げられるよう、和歌山県は5月29日、スマートフォンやタブレット端末向けアプリ「県防災ナビ」の配信を始めた。避難経路、警報や注意報など防災情報の提供に加え、避難訓練に活用できる機能も搭載している。県防災企画課は「いざという時だけでなく、訓練時にも使えるので意識づけにつながります。登録した家族やグループの安否確認もでき、職場や遠くの親戚との間で活用してほしい」と呼びかけている。

 全地球測位システム(GPS)を利用する。アプリを起動し、避難所を指定すると、地図と現在地、徒歩での最短ルートが見られる。避難場所の標高と安全レベル、現在地からの距離、所要時間も分かる。土地勘がない人も逃げられるよう、拡張現実(AR)を採用し、カメラ機能を使って周りの景色を見渡せば、カメラを向けた方角の避難場所が景色に重なって表示される。

 避難トレーニング機能も搭載している。実際に歩いた避難経路と、到着までにかかった時間を記録し、地震発生から避難開始までの時間を設定すれば、時間の経過と共に広がる津波浸水域と避難経路が確認でき、どの時点で津波に追いつかれるかが分かり、次の訓練に生かせる。

 県内では南海トラフ地震が起きた場合、最大で死者が約9万人、建物の倒壊などで44万人が避難生活を強いられるとみられる。同課は「防災に関する機能がこれだけ集まったアプリは全国でも珍しい。ARは方角がつかみにくい夜間や、観光客にとって便利」と話している。

 無料。同課(073・441・2284)。

写真=画面に最短距離の避難経路が表示される

(ニュース和歌山/2018年6月16日更新)