紀州徳川家の時代絵巻、木工作品で──。和歌山市今福に「工房と」を構える𠮷田富彰さん(71)が数百の木工作品による大作「和歌祭」を制作中だ。現在、完成している500体ほどが28日㊍〜7月3日㊋、和歌山市土入の雑貨ギャラリー楽風で展示される。
板を電動糸のこぎりで切っって作るおもちゃ、組み木を2000年から作成する𠮷田さん。これまで動物や昔話を題材にしたもののほか、たま駅長、紀州レンジャーなど地元関連のものも作ってきた。
昨年は京都の祇園祭、岸和田のだんじり祭など祭りを題材に作成。「地元にも長く続く祭りはある」と今年1月、和歌祭をテーマに作り始めた。
参考にするのは、江戸時代に描かれた『和歌祭行列之図』。雑賀踊、龍が乗った山車の唐船、紅白の母衣(ほろ)を持っての舞いなどを人形で再現する。「できるだけ忠実に、一方でデフォルメしながら作っています」と𠮷田さん。人形はもちろん、太鼓や旗、傘といった小道具も手を抜かない。
これまで完成したのは3分の2ほどの約500体。「残りは細かい作業が必要なものが多いが、年内には完成させたい。この作品がきっかけとなり、和歌祭に足を運ぶ人が増えてくれれば」
𠮷田さんの「和歌祭」は6月28日からの「木工とフウラン展」で紹介される。同展には関西の作家8人の木工作品のほか、日本原産のラン、フウランが並ぶ。午前10時〜午後4時。日曜休み。同ギャラリー(073・481・5952)。
(ニュース和歌山/2018年6月16日更新)